プロサッカー選手から全く未知の分野である薬局業界へ。
それはなぜか?
薬局業界の未経験者だからこそ、患者さんの気持ちに寄り添える会社でありたい。
すべての起点を患者さんから考えたい。
そんなアツい想いで起業を決意した松岡光洋社長の生きざまについてインタビューさせていただきました。
Q1.プロサッカー選手が薬局と巡りあうまでの道のりは?
子どもの頃からプロサッカー選手を目指してたんですか?
はい、プロになろうと思ってましたね。
小学生の頃からサッカーを始めて、高校と大学ではどちらも県内強豪校に入りました。
自分で言うのは恥ずかしいのですが、「自分が一番うまい」と本気で思っていました(笑)
僕にはサッカーしかないと考えていたので、プロに行き、サッカーで食べていこうと早いうちから決めていました。
結果、J2クラブであるサガン鳥栖に入団しました。
入団後はチーム内競争を勝ち抜き、レギュラーを勝ち取るぞと燃えていたのを今でも覚えています。ただ、入団してから直ぐにケガで戦線離脱することになりました。そして、登録抹消になりました。
この時、僕の実力でプロの中で勝ち残っていけるのか考えさせられました。
自分の実力の限界を知ったこともあり、ケガが治ってリハビリ中に今後の人生をどう生きていこうか考えていました。
その時に薬局の社長をやろうと決めたんですか?
いえ、その時は「サッカーとは別の道で挑戦する」という結論を出しました。
他のチームからオファーがありましたが、全て断り、あえて逃げ道を無くしました。
本当の意味でゼロから自分でもう一度、勝負してみようと。
Q2.もともと薬局に興味はあったんですか?
まったくありませんでした(笑)
ただ、サッカーはもちろんスポーツとは関わりがない業界に行くと決めていました。就活を経験したことがなかったので、就活の仕方から調べていましたが(笑)
色々と考えた結果、社会を知るためにさまざまな方と出会える環境に身を置くと決めました。その環境になってからどんな道に進むのか決めようかな〜って感じでした。
転々としている時に出会ったのが、調剤薬局の会社を経営している僕の前職でもある会社の社長さんでした。
飲み屋で知り合ったこともあり、最初は世間話ばかりだったんですけど、仕事についてのお話もしてくれるようになって、うちの薬局で働いてみないか?と誘ってもらって、面白そうだったので入社しました。
医療・薬局に関しての知識は全くゼロでしたけどね(笑)
そんな状況で声をかけてもらったのは嬉しかったです。
Q3.実際の薬局ではどのような業務をしていたんですか?
新しくオープンする薬局の立ち上げスタッフとして、医療事務をすることになりました。
先ほどもお伝えした通り、医療・薬局の知識はゼロで国民皆保険とかも何もわからない状態でした。薬のことも一切わかりませんでした。
薬剤師という存在もその時に初めて知ったくらいです(笑)「なるほど、薬剤師は国家試験を合格してなれるのか〜」ってレベルでした。
社内でも多くの方にご迷惑をおかけしていたと思います。その分、多く学ぶことができたと思います。
Q4.医療経験ゼロの自分が起業を決意した理由は?
医療事務として様々な経験をさせていただく中で、在宅の可能性を感じたことがきっかけです。
理由はこの後、ご説明させていただきますが、何かピンと来たんですよね。
ちなみに、調剤薬局は患者さんが自ら来局される外来型と患者さんのもとに薬剤師が出向いて薬をお渡しする在宅型の2つに分けられます。
外来型の薬局も素晴らしいと感じた反面、在宅型の薬局はいまだに主流ではないこともあって可能性を感じました。
Q5.なぜ在宅特化の薬局に可能性を感じたんですか?
外来:在宅が9:1の薬局で在宅の業務をやらせてもらったことがきっかけです。
在宅への興味から薬剤師の方に同行させてほしいと頼み、一緒に患者さんのお宅に行かせてもらうことになりました。実際に行ってみたら衝撃を受けました。
外来でお話しさせていただく患者さんの様子とはまるで違う光景がありました。
なんといいますか、患者さんから大きなありがたみを感じていただけてるんだなあと。
外来型では患者さんと会話することってそこまで多くないのですが、在宅の場合は世間話や薬以外の会話も自然と生まれていました。
患者さんからするとすごく価値に感じていただけているようでした。
薬や調剤というのは大切なものですが、それより結びつきや関係性が重要で人と人との結びつきが大切なんだと気づかされました。
外来型の薬局では、「病院の近くにあって薬をもらいに来る」が当たり前になりすぎて、薬剤師の介在価値について考えたこともなかったからです。
外来型薬局の主役は薬である一方で、在宅型薬局の主役は薬剤師だと感じたんですよね。
外来だと時間の都合などで、どうしても受動的になってしまいます。一方で、在宅の場合は薬剤師も能動的になっていくし、それが患者さんにとって大きな価値に繋がるのではないかと。
在宅だけで成り立つモデルを作り、薬剤師の価値を最大限まで高めて、一人ひとりの患者さんへ与える価値を最大化にしたいと思うようになりました。
でも、どうすればこれが実現できるのか?どんな環境を作ったらいいのか?ずっと考えていました。
Q6.在宅特化の薬局を作りたいと思ったもう1つの理由は?
在宅に特化した薬局をやりたいと思った大きな出来事がもう一つありました。
一人の薬剤師の方が患者さんのご自宅から泣いて帰ってきたことがあったんです。
深堀りしていくと、さまざまな不安がありました。
- 患者さんのお宅の住所を調べるのが大変
- 車で行くので駐車場に迷いやすい
- 患者さんとうまくコミュニケーションが取れないことがある
たしかに、薬剤師が一人で患者さんのお宅に訪問するのってリスクだなと思いました。
患者さんがどういう方か分からない中で1人で行くのはやはり不安が大きい。
そんな不安を取り除き、薬剤師が本来のコア業務に集中できるようにサポートすることが必要だと。薬剤師は薬のプロであるものの、患者さんは私と一緒で薬のことをそこまで深く知らないことが普通です。
なので、専門用語や難しいことはわからず、薬剤師との間でギャップが生じてしまいやすい。そこを私のような存在が薬剤師と患者さんとの架け橋になれれば、お互いにとって大きなメリットになるのでは?と思ったんです。
Q7.「ボランチ」という存在が生まれた理由は?
薬剤師と働くにつれて、存在の大きさとプロフェッショナリズムを同時に感じてました。
これがまんまる薬局で「ボランチ」という新しいポジションが生まれたきっかけなんです。
薬剤師としての専門知識を活かし、患者さんに寄り添える環境だと、自分の存在価値であったり、存在意義を直接感じられると思うんですよね。
これらを感じることで、モチベーションが上がる。
より患者さんに頼りにされ、もっと患者さんのために出来ることはないか?と考えるようになっていく。
自然に接遇やサポートの質を心がけるようになる。
患者さんから感謝される頻度が増え、以前よりもそれぞれの患者さんへパーソナライズされた「訪問薬剤」というサービス提供ができるようになる。
このサイクルの軸になるのが、「ボランチ」というポジションであり、薬剤師に最大限のパフォーマンスを発揮してもらうサポートをするのはどうかなと。
これは患者さんの満足度にも繋がっていると思っています。守備も攻撃もしてくれる、まさにボランチという言葉がしっくりきたんです。
薬剤師は専門性を生かして、患者さんの課題を解決するプロフェッショナル。ボランチはバランサーであり、患者さんと薬剤師をつなぐクッションの役割を担う存在。
非薬剤師でも活躍できる仕組みのひとつがこの「ボランチ」という存在です。
患者さんには最高のサービスを提供をしたい、薬剤師が働く中で自分自身の存在価値を知って働いてもらいたい、それを支えるボランチという仕組み。これで起業を決意しました。